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甲状腺疾患

甲状腺について

甲状腺は首の前方にある臓器で左右に羽を広げた蝶の様な形をしており、「甲状腺ホルモン」という身体の代謝を上げる物質を作っています。甲状腺ホルモンは高値でも低値でも体調に不調をもたらします。

甲状腺の病気

ホルモン異常を起こす疾患

バセドウ病

  • バセドウ病とは?
    バセドウ病は甲状腺ホルモンを異常に多く作ってしまう病気です。ホルモンの作用が過剰に現れることで動悸や体重減少、食欲増加、発汗過多、手の震え、下痢、月経異常などを生じます。
  • バセドウ病と目の症状
    バセドウ病では目の症状が出る方がいます。目が飛び出したり、モノが二重に見えたり、涙が増えたり症状は様々です。
  • バセドウ病の検査と診断
    血液検査、超音波検査、心電図検査などを行い総合的にバセドウ病の診断を行います。

  • バセドウ病の治療
    治療方法は3つ、それぞれ長所と短所があります。
長所 短所
①薬物療法
(抗甲状腺薬を内服しホルモン合成を抑える)
  • 速やかに開始できる。
  • 外来で実施できる。
  • 短期的には安価である。
  • 副作用の可能性がある。
  • 順調な経過でも、治療終了まで1~2年かかる。
  • 内服終了後の再発頻度が高い。
②アイソトープ療法
(甲状腺にのみ取り込まれる放射性物質を内服し、体内から甲状腺を破壊する)
  • 通常は外来で実施できる。
  • 甲状腺の腫れが小さくなる。
  • 手術療法よりは安価である。
  • 治療後に甲状腺機能低下症になり、甲状腺ホルモン剤の内服が生涯必要になることが多い。
  • 治療前後の食事・生活制限を伴う。
  • 甲状腺機能が安定するまで数か月かかる。
  • 妊娠・授乳中は実施できない。
③手術
(甲状腺自体を手術により除去したり小さくしたりする)
  • 最も早く効果が得られる。
  • 甲状腺の腫れがなくなる。
  • 入院、全身麻酔が必要となる。
  • 手術による合併症の危険性がある。
  • 傷跡が残る。
  • 手術方法によっては再発したり、甲状腺機能が低下したりする。
  • 短期的には最も高額である。

国内で最も多く選択されているのは薬物療法です。抗甲状腺薬による副作用があり内服できない場合、定期的な内服治療が困難な場合、甲状腺の腫れがとても大きい場合、数年間薬物療法を行ったが薬物を中止できない難治性の場合、甲状腺癌を合併している場合などに、①以外の治療法が勧められます。
アイソトープ療法を選択する場合も、甲状腺ホルモンが非常に高値の状態では実施できないため短期的に抗甲状腺薬を内服していただく場合があります。

◆ 抗甲状腺薬(メルカゾール®、プロパジール®、チウラジール®)の主な副作用

主な副作用は、内服開始後3か月以内に起こることが多く、それ以降は頻度が低くなります。したがって、開始後約3か月は、2~4週間程度の間隔で経過観察する必要があります。

①無顆粒球症

頻度的には数百人に1人と低く、またほとんどの場合は開始後3か月以内に起こります。起こった場合には重篤な経過をとることがあるため、注意が必要です。

「無顆粒球症(むかりゅうきゅうしょう)」とは、血液中にある白血球(細菌などの異物を除去する働き)のうち、「顆粒球」という成分が極度に減ってしまう状態です。この状態になると、細菌への抵抗力が弱くなり、細菌に感染した場合は重症化することがあります。

無顆粒球症を生じているかは、血液検査によって判断されます。咽頭痛に加え、38.5℃以上の発熱を認めた場合は、内服中止の上、速やかに医療機関を受診してください。

②皮疹、かゆみ

副作用の中で最も多くみられます。軽度の場合は、内服継続したままで抗アレルギー剤を内服したり、かゆみを抑える外用剤を使用したりすることで治まりますが、重度の場合は全身に発疹が生じて内服中止が必要なことがあります。多くの場合は緊急性がありません。定期受診の際や皮膚科へご相談ください。

③肝障害

肝臓の検査値が上昇することがあります。まれに倦怠感や食欲低下、黄疸(目や皮膚が黄色くなる)を認める重症の場合がありますが、多くは無症状なので、採血検査でチェックします。プロパジール®・チウラジール®のほうが、メルカゾール®よりも頻度が高い(成人では1万人に1人程度)と報告されます。ほとんどの場合、内服を中止することで改善します。また、軽度の場合は内服を継続し、慎重に経過観察することもあります。

重篤な肝障害の危険性がどちらかというと高いこと、1日あたりの内服回数が少ないことなどから、メルカゾール®が多くの場合第一選択となります。近い将来に妊娠を希望される方、これまでメルカゾール®内服により副作用を認めた方では、プロパジール®・チウラジール®を選択したり、他の治療方法を選択したりします。

橋本病

橋本病は慢性甲状腺炎と呼ばれる事もありますが、橋本策博士が報告した事から報告者の名前をとって橋本病とも呼ばれています。

橋本病は、自己免疫といって本来自分の体を守るための免疫が自分自身の甲状腺を攻撃することにより起こる病気です。自己免疫により甲状腺に慢性の炎症が起こると、甲状腺が腫れて大きくなったり、逆に縮んだりします。一部の人では甲状腺ホルモンの分泌が低下してきます。甲状腺に自己免疫が起こる原因は体質的なもので遺伝の影響が大きいと考えられています。

橋本病は成人女性の7~8人に一人と高頻度で見つかる病気ですが、甲状腺ホルモンが低下してくる人は一部で、橋本病になっても多くの人の甲状腺機能は正常に保たれており治療を要する人は数%程度です。

甲状腺機能が正常であれば治療も必要ありません。ただし将来甲状腺機能が低下してくる可能性があるので継続的な経過観察が必要です。

◆ 甲状腺機能異常の症状

甲状腺機能低下症の代表的な症状は疲れやすい、寒がり、便秘、体重増加、むくみ等で、特徴的な症状ではないために、体調不良の原因が甲状腺機能低下症と気付いていない事もよくあります。

一方、橋本病の一部の人では「無痛性甲状腺炎」と言って、甲状腺ホルモンが一過性に高くなる場合があります。無痛性甲状腺炎は一時的に甲状腺の炎症が強くなり、甲状腺からホルモンが漏れて甲状腺ホルモンが高くなる事で起こります。その結果、汗かき、暑がり、手の震え、動悸、体重減少などバセドウ病と同様の症状が現れます。

  • 橋本病の方の日常生活の注意点

昆布などの海藻類の過剰な摂取を毎日続けたり、イソジンのうがいを習慣にしていたりすると甲状腺機能が低下する可能性がありますので、過剰にはとらないようにしましょう。但し普通の食事の範囲で海藻類を摂取しても甲状腺機能には影響を及ぼす頻度は低いため過剰に神経質になる必要はありません。

◆ 治療

甲状腺機能低下症の診断がついた場合、程度が軽い潜在性甲状腺機能低下症の場合は妊娠希望がある方や妊娠中の方を除けば経過観察を行います。甲状腺機能低下症の症状が認められていたり、採血で一定の程度以上の甲状腺機能低下症の診断がついた場合には、不足している甲状腺ホルモンを薬として補充します。

甲状腺腫瘍

甲状腺は検診や他の疾患の検査のため頚部超音波検査や胸部CTを施行した際に結節を指摘される場合がよく見られます。甲状腺の結節は自覚症状に乏しく自分で気が付くことはあまりありません。

甲状腺の結節には、良性の腫瘍や過形成、悪性腫瘍である甲状腺癌があります。良性か悪性かの鑑別には超音波検査に加えて必要に応じて細胞診を行います。がんであれば手術が必要になります。甲状腺癌は他の臓器のがんと比較して進行が遅いものが多く予後が良好な場合が多いのですが、良性か悪性かの判断が難しい種類のがんも存在します。

当院では超音波検査やその他の所見で悪性の可能性が疑われる場合は協力医療機関へ紹介いたします。

良性の腫瘍のうち、小さなものは手術をせず経過観察をするのが基本です。但し経過観察中に増大傾向が認められたり採血等を含めの総合的な判断から手術を検討する場合もあります。

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